アラントイン(Allantoin)は羊膜より発見された、成分で、抗刺激性、創傷の賦活作用、保湿等がある成分で、アラントインは美白化粧品、ニキビ化粧品、アトピー化粧品等に使用されている成分です。
アラントイン(Allantoin)
成分評価3
アラントインとは
アラントイン(Allantoin)は、抗酸化物質である尿酸が酸化して出来た生成物で、化学式は、C4H6N4O3で無色透明で水に可溶な固体状物質です。別名として、5-ウレイドヒダントイン、グリオキシジウレイド、グリオキシル酸のジウレイドなどと呼ばれたりします。
アラントインはもともと体内の窒素化合物を体外に代謝、排泄する優れた方法で、哺乳動物の大半が同様機関を持っています。魚類は、アラントインをアンモニアに変化させてから排出します。またアラントインは、バクテリアや植物を含めた、多数の生物の中間体となっているものです。
そんなアラントインのもうひとつの特長が新陳代謝を促す機能や異物から影響を抑える閉塞機能です。哺乳動物では羊膜の主要成分にアラントインが含まれており、母胎が子供を異物として判断しないために使われている成分です。もともと19世紀に牛の羊膜から最初に発見された事で、羊膜を表すアラントイスを語源としてアラントインと命名された事に繋がります。
アラントインは哺乳動物の羊膜から発見されましたが、植物の代謝物として穀物の胚芽、タバコの種子、コンフリー(ヒレハリソウ)の根などにも存在しています。
それによって、アラントインは化粧品成分だけで無く、医薬部外品としても活用されており、その場合もアラントインと表示されています。そのため肌の再生やアトピーの抑制などに効果が期待できる成分なのです。
アラントインの尿素から化学合成によって作られる。
アラントインは動植物から抽出する事も出来ますが、一般的には、化粧品で使用されるものは尿素から化学合成によってつくられています。これは体内では尿酸からつくられるのと同じ原理でつくられています。そしてアラントインは、無味無臭の白い粉として生成されるため、添加しても品質に差が出ないのも特長のひとつです。
また、天然のアラントインも尿素から合成されたアラントインでも効果は変わらず、抗炎症作用をもち、一般的に賦活作用と言われる傷の修復効果があり、様々な化粧品だけで無く、医薬品、医薬部外品などに使う事が出来ます。
アラントインの原料は、天然のかたつむり?
韓国化粧品はカタツムリ化粧品と呼ばれるように、アラントインを含む化粧品が有名ですが、これらは天然のカタツムリを原料としてアラントインを抽出して使用しています。
もともと南米チリでは、食用のかたつむりが飼育中に出来た傷が、すぐに癒える事で調査した処、粘液にアラントインがある事が判明した。かたつむりの粘液には、アラントインの他に、コラーゲンやエラスチン、グリコール酸といった保湿物質やたんぱく質分解酵素である、プロテアーゼが含まれる事が判っています。
そんなかたつむりをタイでは、顔に這わせるエステがあり、美顔、角質除去、毛穴洗浄、保湿、日焼けのケア、ニキビ除去等の効果があると言われているものです。韓国美容化粧品としてこのかたつむり粘液成分が注目をあつめましたが、ドイツ、スペイン、フランスでも古くから注目を集めていた成分です。そのため天然のアラントインとして、かたつむりの粘液から抽出した成分を化粧品として使用しているのです。
日本でもあった戦時中におきたアラントインの奇跡
日本でも、第二次世界大戦中に、手足を怪我をして、満足に治療を受けられない時に、化膿する事で、やむなく手足を切断する事が多かったようですが、中には、傷口にうじが湧いた事で、切断から免れたケースもあるようです。これは、うじから出る粘液にもアラントインが含まれており、痛んだ細胞を食べてもらう事で、新しい皮膚が再生して切断を免れた、うそのような本当の話がありました。
アラントインの効果、効能
アラントインの効果、効能として、抗刺激性が高い事が特長としてあります。アラントインは、羊膜から発見された成分ですが、この羊膜は、母胎と胎児の間に存在しており、通常母胎は、胎児を異物として判断してしまいますが、この羊膜がある事で異物とは判断しないようになっているようです。そんな羊膜に含まれているアラントインも同様に拒否反応がおこりづらい成分で、抗刺激作用が高いのです。
また、細胞組織の修復賦活(ふかつ)作用があるとされており、肌荒れの改善、創傷対策、正常な肌組織を助長する作用、抗アレルギー性、抗炎症があり、保湿クリームやハンドクリームに使用しています。
アラントイン配合化粧品
アラントインは、アルカリ性で分解する事から、アラントイン配合化粧品はすべて弱酸性である必要があります。そのため弱酸性の化粧品のクリーム、化粧水、メイクアップ商品、育毛剤、などに使用されています。またアレルギー物質の抑制効果が期待できるため、アレルギー、アトピー化粧品などにも使用されている成分です。
アラントインの美白効果
アラントインの効果としては、1番有名なのが、美白効果です。しかしビタミンCやプラセンタエキスなどのように紫外線よる肌で発生するメラニンを抑える効果などはありません。その変わり肌の新陳代謝を促す効果があります。それによってしみやくすみに繋がる色素沈着がおこった古い角質をターンオーバーによって再生を促す事が出来、結果的に美白作用があると言えます。
アラントインの保湿効果は、花王キュレル(curel)のニキビ化粧水にも使われている。
アラントインの保湿効果を使って、花王のキュレル(curel)には化粧品成分のひとつとして配合されています。アラントインは、アルカリ性下で分解する性質があるため、酸性のクリームや化粧品といったものに多く使用されています。またキュレル(curel)の皮脂トラブルケア化粧水や、キュレル乳液、キュレルクリーム、また洗顔料などにもアラントインが使われています。
池田模範堂のムヒシリーズのヒビケアやケラチナミンコーワ ヒビエイド、などにもアラントインが配合されています。
アラントインの細胞修復賦活(ふかつ)作用で、肌のきめを整える。
アラントインは、細胞の修復作用をもっているため、肌を活性化させる効果を持っています。新陳代謝を活性化させ、古い角質を剥がれ落としやすしやすくなるため、肌のキメが整えてくれます。そのため肌のアンチエイジングケアとしては非常に優れた成分です。
また、日焼けして、ダメージを受けた肌にもアラントインの賦活作用や抗炎症作用によって肌の修復を促す事ができます。
アラントインの効果で、アレルギーを抑える効能がある。
アラントインは、アレルギー物質の刺激を抑える効果があり、アトピー性皮膚炎にも効果があります。
聖心美容クリニックの伊藤院長によると、アレルギー性皮膚炎の患者99人にアラントインに、グリチルリチン酸誘導体と保湿成分のヒアルロン酸ナトリウムを混ぜたクリームを使用した実験で約78.8%が改善したとの結果が出たようです。
アラントインで手作り化粧品
アラントインの成分は、比較的低価格で、販売されているため、手作りで化粧品をつくる事が出来ます。特にアラントインは、アトピー肌のように刺激に敏感な肌質の人には最適ですので、アラントインを使って化粧品をつくるととても低刺激な化粧品を作る事が出来ます。
アラントインの毒性、副作用、安全性
アラントインは、毒性や副作用は無い成分と考えてよいでしょう。アラントインを含む事で、他の刺激性のある成分が入っていたとしても、その成分の刺激を緩和する事が出来る事もあり、非常に安全性も高いと判断できる成分です。
ただ、アラントインは、大量に摂取すると肝障害をおこす危険性がある事から、食品添加物としては、許可されていません。
成分が含まれている製品一覧
目薬(eye drops)
アラントインは、目薬の成分としても使用されています。アラントインは、花粉症やアレルギーの角膜修復作用の効果があるため、目薬に使用されているのです。
また、目薬だけでなく、眼の洗浄剤としてもアラントインが使用されています。目薬としては、ロートのZi PRO(ロートZi には含まれていません)また洗浄剤としては、アイボンなどが成分として使用されています。
ニキビ対策化粧品(Acne countermeasure cosmetics)
アラントインは、ニキビ対策化粧品にも、抗炎症作用目的で使用されています。アラントインは、ニキビの原因菌であるアクネ菌の繁殖で発生した肌の炎症を抑える働きがあります。
そのため相性の良い、グリチルリチン酸ジカリウムと共にニキビの治療薬として配合されています。ただアラントインには、賦活作用といって肌の再生を促す効果が期待できる事で、ニキビ痕を消してくれる効果も期待できるため、商品として使いつけられています。グリチルリチン酸ジカリウムは、洗顔フォームにアラントインは、ローションやジェルといったものにニキビ対策として、含まれています。クレアラシルなどの、ニキビ対策化粧品は、そのため使い分けられているのです。
シャンプー(shampoo)
アラントインは実はアルカリ性下では基本的に機能を発揮出来ません。そのためアルカリ性であるシャンプーなどとは相性が悪いのです。そのため、クエン酸などを使用して、弱酸性にpH調整をする事で、アラントインを配合可能にしているのです。
グリーンノート(株式会社グリーンノート)
守り髪(株式会社ティエラコスメティクス)
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参考資料
“[アラントイン]クレアラシルにも使われている天然由来のアラントインは保湿成分” への3件のフィードバック