![[トレハロース]のすべて:乾燥から肌と髪を守る糖の力【美容専門家が徹底解析】](https://izu-koubou.com/wp-content/uploads/2018/09/Gemini_Generated_Image_wsmav0wsmav0wsma.jpg)
はじめに:なぜ「トレハロース」は砂漠の植物を救うのか?
「トレハロース」と聞いて、多くの人がお菓子やパンに使われる糖分を思い浮かべるでしょう。しかし、この糖分は、砂漠に生息する植物や微生物が、極度の乾燥に耐えて生き抜くための、驚くべき生命維持成分でもあるのです。
この「乾燥」から細胞を守るというトレハロースの特殊な力が、近年、化粧品やシャンプーの成分としても大きな注目を集めています。その高い保湿力、細胞保護作用、そしてべたつかない使用感は、私たちの肌や髪を健やかに保つための重要な鍵を握っています。
本記事では、化粧品・シャンプー成分の専門家が、トレハロースの基本的な情報から、その驚くべき多様な機能、安全性、そして効果的な製品選びのヒントまでを徹底的に解説します。この成分の秘密を解き明かし、あなたの美容製品選びをより賢く、より満足度の高いものにするための一助となれば幸いです。
トレハロースとは?基本情報と化学的特徴
糖の一種:デンプンから作られる保湿剤
トレハロース(Trehalose)は、グルコース(ブドウ糖)が2つ結合してできた、天然の糖の一種です。デンプンから作られることが多く、食品としても広く利用されています。
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保湿剤としての役割: グリセリンやヒアルロン酸と同様に、水分を抱え込む性質(吸湿性)を持つため、化粧品においては優れた保湿剤として機能します。
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べたつきの少なさ: 他の糖類と比較して、べたつきが少なく、サラサラとした心地よい感触を持つのが大きな特徴です。
なぜ化粧品に重宝されるのか?
トレハロースが化粧品開発において不可欠な存在となった理由は、その優れた保湿力と、他の保湿剤にはない多機能性からです。
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高い吸湿性・保湿力: 空気中の水分を引き寄せ、肌や髪に潤いを供給します。
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細胞保護作用: 生物が乾燥に耐えるための成分であるため、肌細胞や髪のキューティクルを、乾燥というストレスから守る働きも期待されます。
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安全性: 食品添加物としても使われるほど安全性が高く、多くの肌タイプに適しています。
化粧品におけるINCI名と表示
化粧品の成分表示では、国際的なルールに基づいたINCI名(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)が用いられます。トレハロースのINCI名もそのまま「TREHALOSE」と表記されます。日本の化粧品表示名称も「トレハロース」であり、成分表でこの名称を見かけたら、本記事で解説する多機能な保湿成分であると認識できます。
トレハロースがもたらす多岐にわたる機能性
トレハロースは、その単一の成分でありながら、製品のテクスチャー、安定性、そして機能性に多岐にわたる優れた機能を持つ点にあります。ここでは、主な機能について詳しく見ていきましょう。
優れた保湿効果:潤いを長時間キープ
トレハロースの最も主要な機能は、その優れた保湿効果です。
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水分保持力: 水分を抱え込み、肌の角質層に潤いを供給します。肌の水分保持力を高めることで、肌の乾燥を防ぎ、しっとりとした潤いを長時間キープします。
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髪の潤い: 髪の内部に浸透し、髪の水分量を高め、なめらかな手触りにする効果が期待できます。
細胞保護作用:「乾燥」から細胞を守る
トレハロースが持つ、生物が乾燥に耐えるための力は、私たちの肌細胞や髪にも良い影響をもたらします。
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肌細胞の保護: 乾燥というストレスから肌細胞を守り、肌荒れや肌の老化を防ぐ効果が期待できます。
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髪のキューティクル保護: 髪のキューティクルを乾燥から守り、キューティクルの剥がれや損傷を防ぐ働きも示唆されています。
べたつきのないなめらかな使用感
マルチトールと同様に、トレハロースの大きな魅力は、そのべたつきのない、なめらかな使用感です。
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感触改良: 他の保湿剤(例:グリセリンなど)と組み合わせて使用されることで、製品全体のべたつきを軽減し、なめらかな感触に改善する役割も果たします。
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サラサラ感: 軽くて伸びが良いため、肌に塗布した後のサラサラとした心地よい感触を実現します。
増粘・感触改良効果
トレハロースは、製品の粘度を高めたり、感触をなめらかにしたりする役割も担います。
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製品のテクスチャー調整: 化粧水や美容液に配合されることで、製品にとろみを与え、なめらかなテクスチャーを作り出します。
トレハロースの安全性と肌への影響
化粧品成分の安全性は、製品を選ぶ上で最も重要な関心事の一つです。トレハロースは、その多機能性から広く利用されていますが、安全性についてはどのように評価されているのでしょうか。
刺激性・アレルギー性:一般的に低刺激
トレハロースは、食品としても使われるほど安全性が高く、皮膚刺激性やアレルギー性は低いと評価されています。
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安全性評価: アメリカの化粧品原料評価委員会(Cosmetic Ingredient Review / CIR)などの専門機関も、化粧品に配合される濃度において、安全であると結論づけています。
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生体親和性: 糖の一種であり、肌への親和性が高いため、異物として認識されにくいと考えられています。
しかし、どのような成分であっても、個人の肌質や体質によっては稀に刺激やアレルギー反応を示す可能性はゼロではありません。特に敏感肌の方は、初めて使用する製品の際には腕の内側などでパッチテストを行うなど、慎重に様子を見ることをお勧めします。
環境への配慮と生分解性
トレハロースは、天然の原料をベースにしているため、生分解性も高いとされています。
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生分解性: 使用後に環境中に排出されても、比較的速やかに微生物によって分解されます。
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持続可能性: 環境負荷が低い成分として、近年、持続可能性を重視する製品に積極的に採用されています。
トレハロースが配合されている製品例と選び方
トレハロースは、その多機能性と安全性から、幅広い種類の化粧品やシャンプー、ヘアケア製品に配合されています。
主な製品例:高保湿・低刺激製品に
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化粧水・美容液: べたつきを抑えながらも潤いを与える、使用感の良い保湿製品に。
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乳液・クリーム: 製品のべたつきを軽減し、なめらかなテクスチャーを作り出すために。
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シャンプー・コンディショナー: 髪の保湿、なめらかな手触りを目的として。
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ヘアミスト: 髪に潤いを与え、べたつかずにサラサラとした仕上がりを実現します。
賢い製品選びのポイント
トレハロースが配合されている製品を選ぶ際は、以下の点に着目してみましょう。
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求める使用感: 「べたつかないのにしっとりする」「サラサラとしたテクスチャーが好き」といった使用感を重視するなら、トレハロース配合製品は有力な選択肢です。
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成分表示の確認: 成分表示の比較的上位に「トレハロース」という表記があるかを確認しましょう。
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他の保湿成分とのバランス: トレハロースは、ヒアルロン酸、セラミドなど、他の保湿成分と組み合わされることで、相乗効果を発揮することが多いため、製品全体の処方を確認することも重要です。
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まとめ:トレハロースで、潤いと快適さの両方を手に入れる
本記事では、デンプンから作られる糖「トレハロース」が、いかに多機能で重要な成分であるかを徹底的に解説しました。
トレハロースは、優れた保湿効果とべたつきのないなめらかな使用感を実現します。また、細胞保護作用も持ち、肌や髪を健やかに保ちます。その高い安全性と優れた特性は、多くの製品に欠かせない存在となっています。
この知識が、あなたが日々の美容製品選びにおいて、成分表示の奥深さを理解し、トレハロースの力を活かした製品選びの一助となれば幸いです。
参考資料
日本化粧品工業連合会 (JCIA) – 化粧品成分表示名称リスト:
(書籍)吉木伸子 著『美肌スキンケアの基礎知識』(保湿や糖に関する一般的な解説に参照)
(書籍)かずのすけ 著『間違いだらけの化粧品選び』(成分の機能性や肌への影響に関する消費者向け解説に参照)
(論文)Cosmetic Ingredient Review (CIR) Expert Panel reports on trehalose. (トレハロースの安全性評価の根拠として参照)
(Webサイト)化粧品原料メーカーの技術資料・安全性データシート(トレハロースを取り扱うメーカーの専門情報として意識しています)
(Webサイト)日本皮膚科学会などの専門学会の公開情報 (皮膚生理学に関する専門的見解を参照)
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