5α-リダクターゼ抑制(5α-reductase inhibition)は、育毛を阻害するDHA(ジヒドロテストステロン)を抑制する効果のある成分で、育毛が期待できる成分でもあります。
5αリダクターゼとは
5α-リダクターゼは、男性ホルモンであるテストステロンの働きをより高めるDHT(ジヒドロテストステロン)に変化させる事が出来る酵素です。
5α-リダクターゼには、1型と2型 2つまタイプの5α-リダクターゼが存在しており、2型5α-リダクターゼがDHT(ジヒドロテストステロン)を生成する事ができるのです。
また、5α-リダクターゼは、男らしさをつくり出すには重要な酵素で、これが生まれつき欠乏した場合半陰陽(両性具有者)となる可能性が高くなる酵素です。
テストステロン(testosterone)
テストステロン(testosterone)は、男性ホルモンの一種でアンドロゲンに属するステロイドホルモンです。男性の睾丸で約95%生成され副腎でも約5%生成されます。そのため女性でも副腎、卵巣で男性の5~10%程度ではありますが生成されています。
そしてテストステロンは、骨格の形成、筋肉の増大、陰毛の発毛に大きく影響しています。一方で、テストステロンが過剰になる事で、副作用としてまだはっきりとしていないが、心循環器系疾患、前立腺がんのリスクが増大すると言われています。
また、テストステロン自体には、ハゲ(禿げ)や薄毛を促す作用はありません。
DHT(ジヒドロテストステロン)
DHT(ジヒドロテストステロン)は男性ホルモンであるテストステロンが、5α-リダクターゼと呼ばれる酵素によって変化したもので、毛母細胞への栄養の供給をブロックする働きがある事で、薄毛や禿げなどAGAの原因になると言われている成分です。
2種類の5α-リダクターゼ
5α-リダクターゼはタイプ別で1型2型、2種類の5α-リダクターゼが存在します。
1型5α-リダクターゼ
1型の5αリダクターゼは、主として側頭部、後頭部の皮脂腺に存在しています。皮脂の分泌に関係しており、1型5α-リダクターゼが多い事で、皮脂の分泌が増加して、頭皮環境を悪化する可能性のある成分です。
2型5α-リダクターゼ
2型5α-リダクターゼは、前頭部や頭頂部で、一般的に毛根と呼ばれる毛乳頭内で使用される酵素です。
毛乳頭は、毛細血管などで運ばれてきた血液から栄養素を取り込み髪の毛をつくり出す器官ですが、2型5α-リダクターゼが活発化するとDHT(ジヒドロテストステロン)が作られ、毛細血管から毛母細胞への栄養をブロックする作用があります。そのため髪の毛の成長を阻害するものとされています。
5α-リダクターゼの抑制方法
薄毛や禿げ(ハゲ)の治療方法として、5α-リダクターゼの抑制が効果的として様々の方法が存在します。
投薬
AGA治療をしているクリニックで積極的に使用されているのが、投薬です。
プロペシア(フィナステリド)
AGA治療では、非常にメジャーな成分であるフィナステリドを配合した飲み薬です。
フィナステリドはもともと、前立腺癌や前立腺肥大の薬として開発されたが、副作用として育毛効果が判明した事でそちらでの需要が増大した経緯があります。プロペシアは、2型-5αリダクターゼの抑制効果があり、薄毛やハゲ治療の用途としてAGAクリニックなどで一般的に使用されています。
デュタステリド
デュタスタリドは、プロペシアと同等に5α-リダクターゼの抑制効果がある飲み薬です。プロペシアでは、1型5α-リダクターゼの抑制は出来ないのですが、デュタスタリドは、可能であり、2型5α-リダクターゼについてもプロペシアの3倍程度の抑制効果があると言われている薬です。
食品
亜鉛
亜鉛は、一般的に発育、免疫、味覚などに影響する栄養成分で、5α-リダクターゼの抑制効果にも影響があると言われている成分です。そのため積極的に取る事で、薄毛予防に効果がある言われています。
亜鉛の多い食品は生牡蠣、豚のレバー、ビーフジャーキー、パルメザンチーズ、煮干しなどですが、普通に食べている場合取り過ぎる事はまずあり得ません。
ただ過剰に摂取した場合体内の銅の欠乏症をおこすため貧血などの症状があらわれます。
イソフラボン
女性ホルモンである、エストロゲンは5α-リダクターゼの抑制効果があるものですが、エストロゲン様物質である、イソフラボンにも同様の効果があります。
イソフラボンは、大豆に含まれているね大豆イソフラボンが一般的ですので、豆腐、納豆、豆乳、煮豆など大豆製品であれば、多く含まれています。納豆や豆乳などが、イソフラボンを多く取りやすい食品です。
化粧品成分
ノコギリヤシ
ノコギリヤシは、米国頭部原産の低木ヤシで、葉がノコギリのようにギザギザしている事で、ノコギリヤシと言われています。現地のセミノール属は民間療法としてノコギリヤシの抽出エキスを前立腺肥大や前立腺癌の治療に使用されていた事から、効果、効能を期待して、サプリントや、育毛剤などの化粧品成分として使用されるようになった。
ただ、米国国立衛生研究所では、ノコギリヤシの育毛に対する効果については、二重盲試験では現在効能については、確認が出来ていないとされています。
その他
その他にも様々にも、5α-リダクターゼが抑制できるとされている成分が確認できています。
参考資料