「シャンプーの成分表示を見ると、なんだか難しい横文字がいっぱい…」 「PEG-90Mって書いてあるけど、これって一体何なの?」
普段、何気なく使っている化粧品やシャンプー。その成分表示を見ると、聞いたことのないような記号や数字が並んでいて、つい目をそらしてしまう方も多いのではないでしょうか。特に「PEG-90M」のような成分は、一般的な知名度は低いものの、多くの製品に配合されている“縁の下の力持ち”のような存在です。
一体この「PEG-90M」とは何者なのでしょうか?私たちの肌や髪にどんな影響を与えるのでしょうか?そして、安全性は大丈夫なのでしょうか?
この記事では、化粧品とシャンプー成分の専門家である私が、「PEG-90M」について、その正体から役割、安全性、そして賢く製品を選ぶためのポイントまでを、信頼できる情報源に基づき、分かりやすく徹底的に解説します。これを読めば、あなたの成分に対する不安が解消され、より安心して毎日のスキンケアやヘアケアを楽しめるようになるはずです。
さあ、「PEG-90M」の秘密を一緒に紐解いていきましょう!
「PEG-90M」って何?ポリエチレングリコールの仲間たち
「PEG-90M」は、正式には「ポリエチレングリコール-90M」と表記されます。これは、「ポリエチレングリコール(PEG)」という化合物の仲間の一つです。PEGは、水に溶けやすい性質を持つ「水溶性ポリマー」と呼ばれる高分子化合物で、化粧品だけでなく、医薬品や食品など、非常に幅広い分野で利用されています。(出典:住友精化「分子量50000以上のポリエチレングリコール(PEG)とは?」https://www.sumitomoseika.co.jp/productarticles/seq9/ – ポリエチレングリコールに関する専門的な情報が記載されています)
「PEG-90M」の「90M」って何?
「PEG-90M」の数字とMは、その分子の大きさを表しています。「M」は「メガ」を意味し、分子量が非常に大きいことを示しています。具体的には、平均分子量が約90万であることを意味します。PEGの後ろに続く数字が大きいほど、分子量が大きい(つまり、分子が長い)ということになります。
分子の大きさが違うと、それぞれ異なる特性を持つため、化粧品やシャンプーの様々な目的に応じて使い分けられています。PEG-90Mのような高分子のPEGは、粘度調整や皮膜形成といった役割でよく使用されます。
化粧品・シャンプーにおける「PEG-90M」の役割とは?
PEG-90Mは、主に以下の目的で化粧品やシャンプーに配合されています。
粘度調整剤・増粘剤
これはPEG-90Mの最も主要な役割の一つです。シャンプーや洗顔料、乳液などの製品にとろみを与え、使用感を向上させます。例えば、シャンプーであれば、液体がサラサラしすぎると扱いにくいですが、適度な粘度があることで、泡立ちが良くなったり、髪や頭皮にしっかりと密着しやすくなったりします。(出典:池田物産株式会社「FOAMYSENSE 301 ポリマー – PEG-90M」https://www.ikedabussan.com/itemindex/itemdetail/254 – PEG-90Mが粘度調節剤として利用される例が挙げられています) これにより、製品が垂れにくくなり、使いやすさが格段に向上します。
皮膜形成剤・コンディショニング剤
高分子のPEG-90Mは、髪や肌の表面に薄い膜を形成する性質を持っています。
- シャンプーやトリートメントの場合: 髪のキューティクルを整え、滑らかな感触を与えることで、指通りを良くしたり、ツヤを与えたりする効果が期待できます。また、髪をコーティングすることで、外部の刺激(ドライヤーの熱や摩擦など)から髪を保護し、ダメージの軽減にも役立ちます。これにより、洗い上がりのキシみ感を軽減し、しっとりとした仕上がりをもたらします。
- スキンケア製品の場合: 肌の表面に薄い膜を形成することで、肌の水分蒸発を防ぎ、保湿効果を高める働きが期待できます。また、肌の滑り性を良くし、マッサージなどの使用感を向上させる目的で配合されることもあります。
乳化安定剤・分散剤
水と油のように混ざり合わない成分を均一に混ぜ合わせ、製品が分離するのを防ぐ「乳化安定剤」としての役割も果たします。また、顔料や粉末などの固形成分を液体中に均一に分散させる「分散剤」としても機能します。これにより、製品の安定性が高まり、使用期限中も品質が保たれやすくなります。
「PEG-90M」の安全性について:気になる疑問を解消!
「PEG」という成分名を聞くと、「肌に良くないのでは?」「合成成分だから心配」といった不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、化粧品に使用される成分の安全性は、厳しい基準のもとで評価・管理されています。
毒性について
PEG自体は、化学的に安定しており、人体に対して比較的「不活性」で毒性がないとされています。多くの国際的な機関や専門家によって、化粧品や医薬品、食品の様々な用途において安全性が認められています。(出典:CONCIO「化粧品に入っているPEGとPPGは安全?」https://concio.jp/blogs/blog/peg-ppg – PEGの安全性に関する一般的な議論が紹介されています) 実際に、PEGは便秘薬や医薬品のカプセルなど、体内に入るものにも使用されている実績があります。
不純物(1,4-ジオキサン、酸化エチレン)の問題
PEGの製造過程において、微量ながら「1,4-ジオキサン」や「酸化エチレン」といった不純物が発生する可能性があるという懸念が一部で指摘されています。これらは発がん性や神経毒性が疑われる物質です。
しかし、日本の厚生労働省をはじめとする各国の規制機関は、化粧品中のこれらの不純物量について厳格な基準を設けています。製品として市場に出回る際には、これらの不純物が人体に影響を与えないレベルにまで管理されていることが義務付けられています。日本の化粧品メーカーは、この基準を遵守して製造を行っていますので、基本的にはご安心ください。(出典:CONCIO「ポリエチレングリコール(PEG)を化粧品で避けたほうがいい理由」https://concio.jp/blogs/blog/reason-to-avoid-peg-in-cosmetics – 不純物に関する一般的な議論が記載されていますが、規制による管理が前提となります。)
アレルギー反応について
ごく稀に、PEG成分に対してアレルギー反応を起こす人がいることが報告されています。これは、化粧品や医薬品に含まれるPEGを長期間継続的に使用することによる影響で、過敏症が発症する可能性が示唆されています。ただし、その数は多くなく、一般的な成分と比較してもアレルギー発生頻度が特に高いわけではありません。
もし、特定のアミノ酸系成分に限らず、化粧品やシャンプーを使用して肌に赤み、かゆみ、刺激などの異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、皮膚科専門医に相談することが重要です。
環境への影響
PEGおよびその関連化合物は、生分解性が低い可能性が指摘されており、排水後に環境中に蓄積する可能性があるという懸念も一部で議論されています。しかし、この点についても研究が進められており、より環境負荷の低い代替成分の開発や、生分解性向上への取り組みが行われています。
「PEG-90M」配合製品の選び方と賢い付き合い方
PEG-90Mは多くの化粧品やシャンプーに配合されている一般的な成分であり、その安全性は規制によって担保されています。しかし、自分の肌質や髪質、そして成分に対する考え方によって、製品を選ぶ際の視点は変わってきます。
どんな人におすすめ?
- シャンプーや洗顔料のとろみが好きな方: 適度な粘度によって、使い心地が向上します。
- 髪の指通りやまとまりを重視したい方: 皮膜形成効果で髪の表面が滑らかになります。
- 製品の安定性を重視したい方: 乳化安定剤としての役割で製品が分離しにくくなります。
こんな方は少し注意して選んでみても良いかも
- 極度の敏感肌で、あらゆる成分に過敏に反応する方: ごく稀なアレルギー報告があるため、特に敏感な方はパッチテストを行うなど慎重に。
- 完全に天然由来成分のみにこだわりたい方: PEGは合成成分であるため、天然志向の方は別の選択肢を検討してみるのも良いでしょう。
賢い付き合い方のアドバイス
- 成分表示全体を見る: PEG-90Mだけでなく、洗浄成分、保湿成分、その他の美容成分など、製品全体の成分バランスを見て判断しましょう。
- 少量から試す: 新しい製品を試す際は、少量から使用し、肌や髪に異常がないか確認しましょう。
- 異変を感じたら使用中止: 赤み、かゆみ、刺激などの異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、皮膚科専門医に相談してください。
「PEG-90M」は、製品の使い心地と安定性を支える重要な成分
この記事では、化粧品やシャンプーによく配合されている「PEG-90M」について、その正体、主な役割、そして安全性に関する疑問を詳しく解説しました。
PEG-90Mは、シャンプーや化粧水に「とろみ」を与えたり、髪を「サラサラ」にしたり、製品の「安定性」を高めたりと、私たちが快適に製品を使用するために不可欠な働きをしています。安全性についても、厳しい基準のもとで管理されており、過度に心配する必要はありません。
成分の知識を深めることは、自分に合った製品を選ぶための大きな力になります。ぜひこの記事を参考に、「PEG-90M」という成分への理解を深め、より安心して、そして賢く毎日の美容ケアを楽しんでくださいね!
成分が含まれている製品一覧
マシェリ シャンプー(資生堂)
成分が含まれるその他の商品一覧
中野製薬 モデニカグリース4 90g
ミルボン プレジュームワックス 7 90g 2個セット 送料無料
ミルボン プレジュームワックス 7 90g 追跡配達 送料無料
モデニカ アート グリース 90g ナカノ 返品種別A
資生堂 SHISEIDO プロフェッショナル フェンテフォルテ トリートメント 1800g レフィル 詰替え ヘアケア サロン
参考資料
住友精化「分子量50000以上のポリエチレングリコール(PEG)とは?」: https://www.sumitomoseika.co.jp/productarticles/seq9/
池田物産株式会社「FOAMYSENSE 301 ポリマー – PEG-90M」: https://www.ikedabussan.com/itemindex/itemdetail/254
CONCIO「化粧品に入っているPEGとPPGは安全?」: https://concio.jp/blogs/blog/peg-ppg
CONCIO「ポリエチレングリコール(PEG)を化粧品で避けたほうがいい理由」: https://concio.jp/blogs/blog/reason-to-avoid-peg-in-cosmetics
日本化粧品工業連合会 (JFCA): https://www.jcia.org/ (化粧品成分全般に関する情報)
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