トレハロース

トレハロースは、シイタケなどのキノコ類や、動植物など広く持っている稀少糖のひとつで、グルコースよりも毒性が低く、保湿の効果のある成分です。

トレハロース(trehalose)

成分評価３

トレハロースとは

トレハロースは、2つのグルコースが、1.1-グリコシド結合になった2種の糖で、自然界では、多くの動植物や昆虫の体内で使用されています。

特に昆虫(バッタ、イナゴ、蜂、蝶)の体内では、血糖はトレハロースを使用して、分解酵素トレハラーゼによってグルコース(ぶどう糖)にする事で活動エネルギーとして利用しています。またトレハロースは、グルコースと比較すると糖化をおこさない事で毒性が低いと考えられています。そのため人のグルコースの血糖濃度は、通常100～200mg/dLに対して、昆虫のトレハロース血糖濃度は400～2000mg/dLとなっています。

植物の場合、ひまわりの種、イワヒバ、海藻類、そしてきのこ類である、椎茸、シメジ、まいたけ、なめこ、きくらげなどにもトレハロースが含まれています。椎茸がカラカラの乾燥状態だったのが、水につけるともとの状態にもどるのもトレハロースの機能のひとつです。同様に昆虫であるクマムシなどは、乾燥するとクリプトビオシスと呼ばれる一見死んでいるような仮死状態となります。そんな状態のクマムシも水分を与えると活動をしだすのもトレハロースの力となります。

トレハロースは、非常に稀少な糖で、以前は低収率であったため1kgあたり4 ～5万で取引をしていたようです。1990年代の初めに、林原氏が、岡山県の土壌から発見したアルスロバクターと呼ばれる微生物が高収率で、でんぷんからトレハロースを生成する事を発見して、生産コストが1/100になった事で、低価格で提供が可能になった事から、1995年に生産を開始して、現在食品分野だけではなく、医薬品、化粧品、飼料、肥料、工業用素材など様々な分野で使用されています。

トレハロースの効果、効能

トレハロースは、砂糖の約35％程度の甘さしか無くすっきりとした甘さとなっている糖質で、骨粗しょう症やメタボリックシンドロームなどに効果があるとして注目を集めています。その他インスリン低分泌作用、耐糖能改善作用、細胞障害保護作用などの効能がありますが、一般的には保水力を持っている事で、食品添加物として入れる事で、乾燥しづらい、しっとりとした感触を維持する事ができます。

化粧品として使用する場合は、水分を取り込む性能があり、保湿、保存料として使用されています。

トレハロースの毒性、副作用、安全性

トレハロースは、天然の動物、植物、特にきのこ類には20％ものトレハロースが含まれており、毒性等はありませんし、グルコースよりも毒性は低いと言われています。但し、トレハロースは、腸管でトレハラーゼによって分解する場合、個人差があり人によっては、お腹がゆるくなる場合があります。

またクロストリジウム・ディフィシルという細菌が、低トレハロース環境で、増殖する事が判明し、腸炎の増加に対して関与しているのではとの見解がもちあがっています。本来クロストリジウム・ディフィシルは腸内にもともと存在する細菌ですが、低濃度のトレハロースによって強化され高い病原性が出る事が判明した。但し、腸炎の発生については、カナダ国内を中心で発生しており、１番使用されている日本での発生の報告は無いのが現状で、実際トレハロースが原因については、疑わしいようです。